「デジグラフィ/飯沢耕太郎」ISBN:4120034887

何気に飯沢さんの本を読んだのは初めてだった。報道と広告と表現の分野での「デジグラフィ(=デジカメで撮影、あるいはフィルムからパソコンにスキャンしてつくられる画像)」の状況について説明している。

アジズ/クッチャーや、コッティンガムの作品が、「作り物」であるにもかかわらず見る物の感情を揺さぶる奇妙な力を備えているのは、それが、「首尾一貫してリアリスティックな写真の場面」としての見かけを保っているからだろう。一見するとそれはまさにただの肖像写真であり、画像の細部の明暗、陰影、遠近感、テクスチャーのすべてにおいて「フォトグラフィ」の伝統的な表現をそのまま受け継いでいるように思える。にもかかわらず、コッティンガムが作品解説で述べているように、彼らの作品には「見る物がそれを(普通の)ポートレイトとして知覚するとともに、物質とイメージ、肉体と精神との疎外と断片化への疑問もまた提示する」ような巧みな罠もまた仕組まれているのである。

デジグラフィがフォトグラフィより絵画に近いのではないかと指摘した上で、じゃあ絵画とはどう違うのかということをうまく説明してると思う。これは操作、加工されたデジグラフィの話なんだけど、デジグラフィの場合どこまでが画像の補正(色調補正、焼き込み等)でどこからが操作、加工なのかがあいまいになる。

  • アジズ/クッチャー(Aziz + Cucher)の→
  • コッティンガム(Keith Cottingham)の→

あと、「歴史写真のトリック―政治権力と情報操作」ISBN:402255939Xれていた。これは見てみたい。