shin-go2003-12-08

『リヒター、グールド、ベルンハルト』杉田敦 (ISBN:462204255X)

「…いかにコンセプチャルなものであっても、いかにその内部に言語それ自体を抱え込んだものであっても、それはそれを受けとめる人間の内部の種々の要素間の瞬間的な力学で決定されなくてはならない。…アートは、それ自体がひとつの原子であり、どのような物語も受け付けない、生産の秩序に支配されている。」

杉田さんの授業は、ヨゼフ・ボイス以降の作家のコンセプチャルな部分、主に社会との関わり方(ポリティカル・コレクトネス)についての授業だった。作家の抱くコンセプトと、享受者の自由(作品の開かれ)を、自分はどう扱っていくか、いまいちはっきりしない。
そういえば杉田さんの授業は、作品(と制作過程)と社会との関わりについて、ヨゼフ・ボイスをかなり重要視していたが、「コンセプチュアル・アート」という言葉は一度も出てこなかったと思う。何か意図があったのか?